特別受益①(数十年前の生前贈与も特別受益に該当)

相談内容 

 A男さんから、先日亡くなったA男さんのお父さんの相続について相続人間(お母さん、弟のB男さんと妹のC子さん)で話し合ったのだが、相続割合で意見の相違があると相談がありました。

 A男さんは、20数年前にB男さんがお父さんからB男さんの創業資金として1000万円の贈与を受けているのでその金額を相続財産に加える必要があると主張し、これに対してB男さんは、もう20数年前のことなので1000万円の贈与については時効により消滅しているので遺された財産だけが相続財産であると主張しているそうです。どのように遺産を分割すればよいのでしょうか。

 

提案・結果

 被相続人が生前に、相続人に対して、事業資金等の贈与をした場合、被相続人の亡くなった時点での遺産にその生前贈与分を加えてそれぞれの相続分を算出することになります。これは特別受益というもので事業資金の他、婚姻費用や学業資金などがあります。ですから、この場合はB男さんが受領した1000万円を相続財産に加えなければなりません。

 ただし、特別ではなく少額の贈与や通常の生活費の支給などはこれに該当しません。なお、特別受益に時効消滅はありません。

※ 令和元年7月1日からは婚姻20年以上の夫婦の一方が他方に居住用の土地建物を贈与した場合、2000万円まで贈与税が課されない。この場合の贈与については特別受益に該当しなくなりました。

 

 


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