遺言信託(相続人が精神障害である場合)

相談内容

 A男さんの法定相続人は精神障害で病院に入院している長男のM男さん1人だけです。

 A男さんが亡くなれば、A男さんが住む自宅はM男さんが相続することになります。A男さんは、ご自身の死亡後にその自宅を賃貸または売却してその家賃または売却代金をM男さんの入院費用に充てたいと考えています。どのような方法があるのでしょうか。

提案・結果

 M男さんの精神障害は回復の見込みが無いということ。M男さんがその不動産を相続により所有したとしても売却するとは考えにくいということ。M男さんには意思能力があるということ。以上から生前贈与や成年後見人を選任することが難しくなります。

 そこでA男さんが委託者、信頼できる親族のS子さんが受託者、受益者をM男さんとするという遺言信託を提案しました。

 将来、A男さんが亡くなった後の不動産の賃貸または売却を受託者のS子さんが行い、その家賃または売却代金が受益者のM男さんの銀行口座に入金できるような信託条項を作成し、それを公正証書での遺言信託としたのでした。この場合、賃貸か売却かはS子さんの裁量によるものとなります。

 A男さんが今まで納得できる解決案が無く悩んでいたことが、当事務所でも初めてである遺言信託で解決できたことをで、A男さん共々すっきりした気持ちになりました。

 


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